日本数学会賞建部賢弘賞

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日本数学会賞建部賢弘特別賞/奨励賞

 法人設立 50 年となる 1996 年,社団法人日本数学会は,建部賢弘賞を創設し,若い会員の優れた研究を顕彰し奨励することによって数学の活性化に資することとしました。
 この賞の名称の基になっているのは,関孝和 (?-1708) の高弟であり,「円理」(円周率の理論)の発展に大きな足跡を残した和算家,建部賢弘 (1664 – 1739) です。建部は,アルキメデス以来の多角形近似による円周率計算に「累遍増約術」(20 世紀になって Richardson 補外として再発見されました)を適用して, 41 桁まで計算するとともに,円周率が無限級数として展開されることを指摘するなど,円理における解析的手法を世界に先駆けて確立しました。

建部賢弘 著「發微筭法演段諺解」
京都大学理学研究科数学・数理解析専攻数学教室図書室所蔵

その一方で建部は和算の知識を応用して,改暦や測量などの事業にも関わりました。「日本総図」はその産物です。

享保年度幕府撰建部賢弘日本図・国立歴史民俗博物館所蔵

 建部賢弘賞には特別賞と奨励賞の2種類があります。特別賞は優秀な業績を挙げた 35 歳以下の数学会員に,奨励賞は将来性に溢れる研究を行なっている 30 歳以下の会員に授与されます。ただし種々の困難のもとで数学の研究を続け日本数学会の活性化に寄与した会員に対しては,上の規定にかかわらず年齢制限を設けず特別賞・奨励賞の対象に加えることになっています。授賞の人数は特別賞が年3名程度,奨励賞は年5名程度とし,授賞式は秋季総合分科会において執り行います。

2017年度受賞者

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