2006 年度日本数学会関孝和賞
日米数学研究所(JAMI)
―長年に亘る数学界への貢献―

日米数学研究所(JAMI) は,太平洋両岸の最も活動的な数学者の研究交流の場を目指し て,1988 年5 月の開所記念会議開催とともに,米国Maryland 州Baltimore にあるJohns Hopkins大学(JHU)内に誕生しました.英語での正式名称は,The Japan-U.S. Mathematics Institute です.

JAMI は,毎年特定の研究分野を決め,Johns Hopkins 大学の数学者を含めた日米の 数学者数名がOrganizers となり,その分野の日本人研究者数名を(短期または中期) 滞在 者としてJAMI に招へいし,Conference やWorkshop を開催しています.また日本の若手 数学者にとって貴重な国際交流の体験の場を与え続けています.

すでに,18 年を数えるにいたりましたが,数論,代数幾何学,ホモトピー論,複素幾 何,微分幾何,大域解析学等の分野が研究分野に選ばれ,日本人のSymposium 参加者は 延べ100 名を越えています.第18 年目の2005/06 年度は,Recent Developments in Higher Dimensional Algebraic Geometry というテーマで,森重文(京大数理解析研究所) および J. Kollár (Princeton 大),V. Shokurov (JHU),N. Budur (JHU) の4 氏が組織委員となり, JAMI Conference/Workshop が2006 年3 月10―16 日に開催されました.

JAMI の設立の趣旨は,そのホームページにも記されているとおり「Johns Hopkins 大 学数学教室と日本の数学のコミュニティーとの良好な関係を発展させ,数学での交流を通 じて日米の友好関係の促進に貢献すること」です.これは,「長年にわたり数学の研究業績 以外の功績によって数学の発展に寄与し,それを通して学術文化の向上に顕著な貢献をし た個人および団体の業績を顕彰」するという関孝和賞の趣旨にまさに合致するものです.

JAMI をめぐる環境は変化していますが,多くの方々の推薦と支援に伺えるように, JAMI の存続と発展を祈る声は大です.そこで日米数学研究所(JAMI) に2006 年度日本 数学会関孝和賞を贈り,井草凖一氏,Jean-Pierre Meyer 氏,Jack Morava 氏,現所長の Steven Zucker 氏をはじめ,JAMI の活動を維持し続けて下さっている関係諸氏に心から 感謝の意を表し,JAMI の長年にわたる数学と日米の友好への貢献に感謝するとともに, 更なるご活躍と発展を期待致します.

理事長 小島定吉