関孝和賞
日本数学会関孝和賞について
日本数学会関孝和賞は,長年にわたり数学の研究業績以外の功績によって数学の発展に寄与し,それを通して学術文化の向上に顕著な貢献をした個人および団体の業績を顕彰する賞です.1995年の数学会年会が50回目の年会であることを記念して,日本数学会の活動を広く世に知らせるために創設されました.関孝和賞は日本数学会における最高の賞であり,賞状を授与し,副賞としてメダル(純金)および関孝和全集を授与します.授賞者は高々年1名又は1団体とし,授賞式は原則として,日本数学会年会の際に行います.
この賞の名称の基になっているのは,和算の高度な発展を導いたことで知られる関孝和 (?-1708)です.
関孝和肖像(日本学士院所蔵)
関の業績は数多くありますが,その中でも最大の業績は傍書法を用いた多変数の高次の方程式を解く計算法を確立したことです.関は「発微算法」(1674年)において,道具(算木)を用いた天元術と呼ばれる中国で発達した手法では解けなかった問題を,未知数を代数で表す筆算表記法の傍書法で解くことに成功しました.
発微算法(日本学士院所蔵)
また,関は終結式,行列式などを世界に先駆けて発見したことでも知られており,その理論は「解伏題之法」(1683年)で述べられています.関の研究は建部賢弘などの和算家が引継ぎ,その和算の流派は「関流」と呼ばれました.
解伏題之法(日本学士院所蔵)
日本数学会関孝和賞受賞者一覧
氏名 | 所属・職名 | 受賞年月日 | |
---|---|---|---|
第1回 | 谷口 豊三郎 | 東洋紡名誉顧問 | 平成7年3月28日 |
第2回 | Hirzeburch, Friedrich | Max-Planck 数学研究所所長 | 平成8年4月2日 |
第3回 | The Japan-U.S. Mathematics Institute | 平成18年3月27日 | |
第4回 | Institut des Hautes Études Scientifiques (IHES) | 平成19年9月22日 |
- 第4回受賞のIHESに関する広報(和文)・(英文)
- 第3回受賞のJAMIに関する広報 (和文) ・ (英文)
- 「日本数学会関孝和賞第二回受賞者 フリードリッヒ・ヒルツェブルッフ教授」(「数学」49巻2号)
- 「日本数学会関孝和賞受賞者 Friedrich Hirzebruch 教授の業績」(上野健爾会員、「数学」49巻2号)
- 第二回日本数学会関孝和賞受賞講演「正多面体とサッカーボール」(フリードリッヒ・ヒルツェブルッフ教授、「数学」49巻2号)
- 第2回受賞者のヒルツェブルッフ教授からのメッセージ
- 「日本数学会関孝和賞の創設および第一回受賞者谷口豊三郎氏」(「数学」47巻1号)
- 「日本数学会関孝和賞の創設および受賞者 谷口豊三郎氏の業績」(上野健爾会員、「数学」47巻1号)
- 第一回日本数学会関孝和賞受賞スピーチ(奥田繁雄氏、「数学」47巻4号)
- 第1回受賞者の谷口豊三郎氏が尽力された谷口シンポジウム