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私の専門分野は数論で,特にL関数の特殊値と呼ばれるものに興味を持って研究してきました。ここで,L関数というのは代数体,代数多様体,Galois表現,保型形式などといった数論的に興味深い対象から自然に定まる解析関数で,その特殊値というのは整数点での値のことです。そして,L関数の特殊値は,様々な興味深い性質を持っていることが知られていたり,予想されていたりします。例えば,最も基本的なL関数の例であるRiemannゼータ関数 ζ(s) の場合,その s=2 での特殊値は ζ(2)=π^2/6
となっていることがEulerによって知られています。この等式は,数論的な対象(1,2,3,…)と幾何学的な対象( π )が結びつく非常に興味深い等式となっており,私はこのような一見関係のない数の間の非自明な一致に興味を持って,L関数の特殊値の研究に取り組んでいます。