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2026年度・2027年度 日本数学会在外研究奨励フェローの募集について

 2025年9月1日から12月15日まで、2026年度・2027年度日本数学会在外研究奨励フェローを募集します。
 ※9月16日に、在外研究奨励フェロー事業を含む「数理科学振興会との共同事業」ウェブサイトを開設し、そちらにも同じ内容を掲載予定です。(数学会ホームページのトップページ、下方のバナーからアクセスできます。)

<在外研究奨励フェローについて>

日本数学会在外研究奨励フェローによせて

日本数学会理事長 石毛和弘

 数理科学振興会と日本数学会の共同事業として、「日本数学会在外研究奨励フェロー」が2025年度に発足しました。本制度は、意欲的に研究を続けている日本数学会会員の若手研究者が、海外で共同研究を行うこと、あるいは海外の機関に所属する研究者と共同研究を行うことを奨励するためのものです。毎年4人を採択し、2年間にわたり、奨励金を交付します。また、フェロー採択者は春の学会で公表します。学会での公表に合わせ、2026年度採択分からは募集期間の締切日が早まりましたのでご留意ください。それぞれの研究計画を持った若手研究者の応募を心よりお待ちしています。
 かつて日本は数学の開発途上国でしたが、現在では世界の最先端を行くトップランナーを輩出する数学大国へと成長してきました。これまで日本の数学を切り開いてきた多くの数学者の中には、海外に滞在し、そこでさまざまな数学に触れることで独自の数学観を発展させてきた研究者が多くいたことは紛れもない事実です。このように発展してきた日本の数学ですが、昨今の若手数学者は海外に出て学ぶことに対して内向きではないかという懸念が一部で取り沙汰されています。一方で、現在置かれている研究環境によっては、海外に出て世界の数学に触れる機会に恵まれない研究者が多いことも事実です。
 このような状況をふまえ、数学会は数理科学振興会の助けを得て、数学会会員の若手研究者が海外に出て世界の数学に接するための支援を行うこととなりました。数学会と数理科学振興会の間で、若手研究者が海外で研究することを奨励する制度の必要性が議論され、その意を受けて本制度が作られました。この制度には、これからの数学を担う若い才能たちにぜひ新しい世界を見てほしいという思いが根幹にあります。
 海外滞在については、その場にいなければわからない雰囲気を感じる意味でも実際に滞在する意義は大きいのですが、一方で新しい通信手段を用いて共同研究する方法も確立されつつあります。共同研究の方法も多様化していますので、本制度では共同研究の形態にも柔軟性を持たせています。
 以上は若手研究者へのメッセージですが、会員の中には若手研究者を育てる立場の方も多くいらっしゃると思います。そのような会員の皆様におかれましては、本フェローに該当する方がお近くにいらっしゃいましたら、下記募集期間にご留意の上、ぜひ声をかけて背中から後押ししていただければ幸いです。
 (※) 奨励金は2025年度が60万円、2026年度から100万円となります。