第11回(2012年度)解析学賞
受賞者 |
業績題目 |
隠居良行(九州大学大学院数理学研究院) |
圧縮性粘性流体の平行流の安定性解析 |
坂口茂(東北大学大学院情報科学研究科) |
拡散方程式の不変等温面と領域の幾何学 |
谷口正信(早稲田大学理工学術院) |
時系列解析における統計的漸近最適推測理論の研究 |
【選考委員会構成】
芥川和雄(委員会担当理事),小池茂昭(委員長),小林孝行,今野良彦,田中直樹,辻元,西山享,日野正訓
受賞者 |
谷口正信(早稲田大学理工学術院) |
業績題目 |
時系列解析における統計的漸近最適推測理論の研究 |
受賞理由 |
古典的な時系列解析では,特殊なモデルに対して正規性等の理論的に扱いやすい条件を課し,そのもとで展開される統計推測理論は原始的であり,最適性への理論的な裏づけも極めて脆弱なものであった.谷口正信氏は,独立標本のもとで Le Cam により開発された局所漸近正規性に基づくアプローチを用いて,線形過程のみならず,非線形過程,局所定常過程,長期記憶モデルなどの時系列モデルにおいて,漸近最適な推定量・検定統計量・判別統計量を統一的に導出した.これは,標本数を無限大にしたとき,近接する対立仮説のもとで,対数尤度比の確率展開が central sequence と呼ばれる確率変数列と非確率的な Fisher 情報行列で近似されるという性質である局所漸近正規性をもつような確率分布族に対して,これらのふたつの言葉で時系列解析における漸近最適推測理論を統一的な観点から進めるものである.この業績の基本部分をまとめた共著書は,時系列解析の漸近最適理論の研究を進めるうえで,事実上の標準となるものと言えよう. |