2017年度秋季総合分科会

2017年度秋季総合分科会

2017年度秋季総合分科会---市民講演会

日時
9月10日(日)14:00~16:30
会場
山形テルサ アプローズ
主催
日本数学会
後援
山形大学,山形大学理学部,山形県教育委員会
プログラム
14:00--14:10 挨拶 小薗英雄(日本数学会理事長・早稲田大学理工学術院)
14:10--15:10 講演1 上野健爾(四日市大学関孝和数学研究所所長・京都大学名誉教授)
「会田安明と江戸時代の数学」
講演概要 今年は山形の生んだ和算家 会田安明(あいだ やすあき,1747--1817)の没後200年に当たる.会田安明は関流に対抗して最上流(さいじょうりゅう)という数学の流派を立ち上げ,関流,特に藤田貞資(ふじた さだすけ,1734--1807)のスクールと激しく対抗したことで知られている.会田安明は独創的な数学者と言うよりは優れた数学教育者であり,おびただしい数の教科書を著し,関流との抗争を通して,記号の改良や解法の記述の仕方の改良をはかった.関流の和算家も会田の著作を有するほど優れた著作が残されている.特に「算法天生法指南」「算法古今通覧」は会田の代表作として知られている.
本講演では,関孝和の天才によってそれまでの中国伝統数学の枠を超えて江戸時代の数学が大きく飛翔したことをとりあげ,関孝和の数学を後代の数学者がどのように受け継ぎ,また受け継がなかったかを,会田安明を例にとって論じる.
15:30--16:30 講演2 奈良知惠(明治大学先端数理科学インスティテュート客員教授)
「折り畳み式製品の数理工学 -折り紙から厚板ボックスへ-」
講演概要 折り畳み傘で代表される「折り畳み式」製品は,携帯や収納の観点から利便性に優れているので需要が高く,他にも,車のエアバッグ,扇子,ショッピングバッグ,折り畳みテーブル,折り畳み梯子,ベビーカーなど多種多様な生活用品があります.とは言っても,コンパクトかつ軽量な「折り畳み式」であって欲しいと思う日常品は,まだまだ沢山存在します.
この講演では,最近の10年間に急速に進展した「多面体の折り畳み」に関する数理的研究に触れながら,それがどのように産業へ応用されるか,「折り畳み式ヘルメット」(NHK総合番組「超絶凄ワザ!最強の帽子対決」のために開発され,改良版が市販化されたもの)や厚板ボックスの例などを紹介しながら,今後の展望と課題に迫ります.
また,近年,注目を集めている「折紙工学」について考察しながら,日本の伝統的な折り紙が国際語「オリガミ(origami)」として広範囲の研究に取り入れられている現状を紹介します.
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