日本数学会のあゆみ

第3回 湘南数学セミナー

テーマ 「複素数の世界」

講師 京都大学理学部数学教室教授 上野健爾先生

 複素数は数学の歴史では古くから登場していますが、本当の数として認められたのは19世紀中頃のこと。それまでは、「虚数」という名前が示すように、本当の数ではなく、仕方なく使う数としての意味しかありませんでした。特にカルダノによる3次元方程式の解の公式ではどうしても複素数を使わねばならず、多くの数学者を悩ませたそうです。今日、複素数の活躍は数学だけではありません。物理学の世界では「量子力学」において本質的な役割を果すなど、科学、工学の多くの分野でも、なくてはならない数となっています。

パート1
 複素数って何?
なぜ必要なの?
複素数の生い立ちから話しをはじめて、代数方程式を主に、複素数を考えることの意味を探ります。

パート2
 2項展開から無限級数へ~無限級数と複素数の関数~
無限級数を通して、具体的に計算することによって複素数の世界を体験します。例えば2項展開
(1+x)2=1+2x+x2
(1+x)3=1+3x+3x2+x3
(1+x)-1=1+x+x2+x3+x4+…

(1+x)4=1+4x+6x2+4x3+x4
は実は親戚の関係にあり、さらに一般に (1+x)a を考えることができるのです。これを調べることによって、複素数の持つ秘密に迫ります。

パート3
三角関数と楕円関数
三角関数を複素数まで広げて考えることによって、全く別の世界が見えてきます。三角関数の逆関数を考えてみましょう。さらに世界が広がり、現代数学の世界へとつながっていきます。

面白い問題をみんなで一緒に考えるワークショップの時間もあるよ!

開催日 1997年12月25日(木)~26日(金)
開催場所  湘南国際村センター
対象 全国の高校生
募集人員 50名 (応募者多数の場合は抽選)
参加費 無料 ※宿泊、お食事代はお一人様 1万円(税・サ込)の実費が必要になります。
主催 社団法人 日本数学会株式会社 湘南国際村協会
財団法人 かながわ学術研究交流財団
後援 湘南国際村倶楽部