第十回(2018年度)福原賞
受賞者 | 業績題目 |
神本晋吾(広島大学大学院理学研究科) |
ボレル総和法や再生函数の理論に基づく漸近解析に対する研究,及びその微分方程式への応用 |
澤田宙広(岐阜大学工学部) |
ナビエ・ストークス方程式に関する非有界領域および非減衰流れの解析 |
【選考委員会構成】
立川篤(委員長),久保英夫,石毛和弘,熊ノ郷直人,杉本充,清水扇丈,片山聡一郎,小池達也,内藤雄基,仙葉隆,原岡喜重,小薗英雄,岩崎克則,利根川吉廣
受賞者 |
澤田宙広(岐阜大学工学部) |
業績題目 |
ナビエ・ストークス方程式に関する非有界領域および非減衰流れの解析 |
受賞理由 |
非圧縮粘性流体の運動方程式であるNavier-Stokes方程式に対して,澤田氏は優れた研究成果を挙げてきた.とりわけ,非有界領域におけるLq理論の構築が挙げられる.半線形偏微分方程式の局所解の存在証明には,線形化問題の可解性が鍵となる.一般の領域にStokes半群が定義されるかどうかは,Helmholtz分解の成立による.一様にC3級な外部領域において,Poission方程式に対する弱い意味でのNeumann問題がLq空間で一意可解であれば,Stokes作用素が定義され,生成する半群が解析的であり,さらに最大正則性をも成り立つことをGeissert, Heck, Hieber氏との共同研究によって証明した.非有界領域においては,Helmholtz分解が成り立つ指数qに制限のある特異な例が知られているため,従来の困難さを簡素化した十分条件の導出と見なせ,空間無限遠でL2を援用するFarwig-Kozono-Sohr理論と補完しあう汎用性に富んだ一般論として高く評価されている. |