日本数学会の出版物

日本数学会 会報 84
1997年2月

1.1997年度年会について

・会費の徴収

東京都立大学における1996年度秋季総合分科会では,会期が休日であったため会場における年会費の徴収は行いませんでした. 今回の年会では,会期が火曜日から金曜日なので例年通り,会場において会費の徴収を行います.
なお,本会の会費納入は規約上は前納となっておりますので,会員名簿綴じ込みの振り込み票により,3月中に払い込まれますようご協力頂ければ幸いです.  また,郵便貯金からの引きおとしは3月31日(月)となっております.この制度を利用されている会員の方は確認をお願いいたします.

・記者会見

1997年度年会に先立ちまして,1997年3月31日午後3時より,信州大学において記者会見を行います. 記者会見は,日本数学会の活動を広く広報するために行われているもので,日本数学会賞春季賞受賞者の発表, 幾何学賞受賞者の公表,日本数学会国際研究集会(MSJIRI)の紹介などを致します.
当日は,年会大会委員長,理事長,広報委員長の他,各賞の受賞者,MSJIRI責任者等の方々が出席します.

・レセプション

年会会期中の4月2日午後6時より,松本東急インにおいて懇親会が行われます. 出席ご希望の方は,83頁にある申込み書をコピーして,必ず3月20日までに数学会事務局にお申し込み下さい. 郵送頂いた方には会場で郵便切手をお返しいたします.
会費は6000円です.当日会場にてお支払い下さい.
当日は,年会の総合講演者,特別講演者,市民講演者等をご招待致します.
なお,準備の都合上,懇親会のご出席は,恐れ入りますが申し込みをされた方に限らせて頂くことがあります.

・企画特別講演について

1996年度秋季総合分科会では,日本数学会50周年を記念して別枠特別講演を行いました.
この形式を継続することが提案され評議員会で了承されましたので,年会の1,3,4日目の午後1時から2時まで,特別講演を行います. この特別講演は従来のサーベイレクチャーズを発展させたもので,たとえば大学院生が大会に出席して良かった,と思えるような講演を企画して別枠で行うものです. 今回の講演には仮に「企画特別講演」という名前を付けています.
このプログラムは各分科会の責任評議員とセッション責任者からの提案を基に,プログラム委員会で決定したものです. 今後評議員会等でさらに検討を続けてより良いものを目指します.

2.日本学術会議第17期会員候補の選挙結果について

会報82,83でお知らせしましたとおり,日本学術会議第17期会員候補者の選挙が行われました.
11月に,日本数学会会員を被選挙権者として,日本数学会選出の第16期数学研究連絡委員会委員および日本数学会評議員により第1回目の投票を行い,5人の参考者を決定しました.
また,この期間中に一般会員から2名の参考者が推薦されました.
続いて12月から1月にかけて,日本数学会会員を被選挙権者,日本数学会会員を選挙権者として「日本学術会議第17期会員推薦候補」の投票を行いました. 開票結果は次の通りでした.

    投票総数  943票
    上野 健爾  571票
    岡本 和夫 562
 次点 荒木不二洋 200

選挙管理委員会の結果に従い,理事会は,上野健爾氏(京都大学)と岡本和夫氏(東京大学)の両名を日本数学会として,日本学術会議に推薦いたしました.
日本学術会議会員は,各学会からの推薦者を候補者とし,5月中旬に開催される日本学術会議推薦人会議を経て,7月に最終的に計2名が決定されます.

3.日本学術会議第17期数学研究連絡委員会委員選出日程

日本学術会議数学研究連絡委員会(数研連)の定員は,会員2名を含めて24名です. 第16期の数研連では,日本数学会から推薦した委員は19名でした.
第17期の数研連に対し数学会から何人の委員を推薦するかは,現時点では確定しておりませんが,前回にならって以下の手順で委員の選定を行います.

  • 1997年4月日本数学会会員を被選挙権者,日本数学会全会員を選挙権者として第1回投票を行い,参考者を選定する.
  • 1997年5月日本数学会会員を被選挙権者,日本数学会全会員を選挙権者として第2回投票を行い,数学会推薦の数研連委員を決定する.

なお,数研連委員選出に関わる,日本数学会の規約は次の通りです.

「数学研究連絡委員会委員選出方法」

  • 1975年2月評議員会承認
  • 1985年4月一部改正
  • 1994年9月評議員会承認

(5.追加)

  1. 投票は数学会全会員の無記名投票により,第1回投票(予備投票),第2回投票(本投 票)の2回の投票を行う.
  2. 第1回・第2回とも,投票は,地区・専門分野にかかわらない者2名,投票者所属の地区から1名,専門分野から1名の計4名連記とする. ただし,地区別は日本数学会の支部別(8支部)とする. 専門別は,代数系・幾何系・解析系・応用数学系の4系とする:
    各系と分科会との対応は次のとおり:
    代数系:基礎論,代数学各分科会
    幾何系:幾何学,トポロジー各分科会
    解析系:函数論,函数方程式,実函数論,函数解析学各分科会
    応用系:統計数学,応用数学各分科会
  3. 第1回投票の結果により,総得票数の順に日本数学会推薦委員数の約2倍の候補者を選ぶ. ただし,別に定めた規則に従って,各 分野・各地区から選ばれた候補者が少なくとも2名は含まれるように調整する. この手続きで得られた候補者を五十音順に並べた名簿を,第2回投票のときに全員に通知する. ただし各候補者の第1回投票における得票数等は公表しない.
  4. 第2回投票は,前項の候補者名簿の中から選んで投票し,その総得票数により委員を決定する. ただし,各分野・各地区から選ばれた委員が少なくとも1名は入るように調整する.
  5. 数学研究連絡委員会(以下数研連という)の委員に欠員があり,補充するときには,次の順で委員を推薦する.
    1.日本数学会会員であるEC(注を参照)の理事が数研連の委員でない場合,その理事を数研連の委員として推薦する.
    2.前項の規定は次年のECの理事として確定しているときにも適用する.
    3.数研連の委員を選出したときの第2回投票のときの次点者を数研連の委員に推薦する.
    注.日本学術会議に参加している国際学術団体である国際数学連合(International Mathematical Union)の理事会(Execuーtive Committee)をECという.

4.日本数学会50周年記念事業について

日本数学会は,1946年6月12日のそれまでの日本数学物理学会から日本物理学会とともに分離独立し,創設されました. 1996年度は創立50周年にあたり,これを記念して下記のような事業を行いました.

  1. 秋季総合分科会における記念特別講演
  2. 日本数学会50周年記念講演会の開催
  3. 日本数学会賞建部賢弘賞の創設
  4. 「数学通信」の創刊

このような事業を行うことができたのは,評議員を初めとする会員の皆様のご協力のおかげであります.ここに,1996年度理事会を代表して感謝の意を表します.
また,日本数学会では,1994年度から95年度にかけて,会員の皆様に御寄付をお願いし,それを基に,日本数学会50周年記念事業特別会計を作り,日本数学会関孝和賞の制定,関孝和全集の復刻を初め,種々の活動を行ってきました.
関孝和賞については,群馬県藤岡市もあわせて受賞者を顕彰することになりました.今後は機会をとらえて,同市において日本数学会市民講演会を行うことにいたしました. 第1回目は1996年9月8日(日)に開催されました. 詳細については会報83,広報委員会報告をご参照下さい.
なお,毎年6月12日は創立記念日として,事務局はお休みです.
おかげさまで,今年度11月9日の50周年記念講演会をもって,50周年記念事業を一応締めくくることができました. これに伴い,日本数学会50周年事業特別会計は終了とする予定です. 具体的な決算の報告は,会告にてお知らせいたします.
(理事長 岡本 和夫記)

5.関孝和全集の会員特別価格頒布について

関孝和全集は1974年に大阪教育図書(株)から刊行された後,永らく絶版になっていました. 関孝和賞創設を機会にこれを復刊することができ, 数学会会員に特別価格(定価15,000円を10,000円)で頒布してきました. 御希望の方は上記振替口座にその旨を明記して御送金下さい(全集送料不要).
なお,特別価格の頒布は,1997年3月15日をもって終了いたします.

6.1997年度日本数学会賞建部賢弘賞について

将来,公表時期を早める,年2回の募集を行う,という可能性を考慮して,受賞者の公表を秋季総合分科会だけではなく,年会でも行えるように規約を改正することが理事会で提案され,この改正が第4回評議員会で承認されました.
現在,会報83(数学通信第1巻3号)でお知らせしたように,1997年度日本数学会賞建部賢弘賞の推薦募集を行っています. 改正点を明らかにし,たくさんの推薦をお願いするために,以下にあらためて要領を掲載いたします. 下線部が改正した箇所です.
なお,本賞の趣旨については,会報83の「7.建部賢弘賞」を参照下さい.

  1. 趣旨
    この賞は,若くして優秀な業績をあげる等の,数学の活性化に寄与している日本数学会会員の研究を奨励する目的で制定するものである.
  2. 件数
    受賞者は毎年10人以下とする.
  3. 選考
    日本数学会賞受賞候補者選考委員会(以下「選考委員会」という)が行う.
    選考委員会については別に定める.
  4. 推薦
    日本数学会会員による自薦,他薦および「受賞候補推薦委員」による推薦を行う.
    推薦についての規定は別に定める.
  5. 決定
    「選考委員会」から答申された受賞候補者について,理事会で決定する.
  6. 受賞
    受賞者の公表は年会あるいは秋季総合分科会において行う.

Ⅱ推薦についての規定

  1. 30才以下の会員はこの賞に自ら応募することができる。
  2. 会員は,35才以下の別の会員を推薦することができる.
  3. 受賞候補推薦委員の推薦については年齢を制限しない.
    なお,ここにいう年齢は,当該年度の4月1日付のものとする.
  • 提出書類1.1997年度日本数学会建部賢弘賞推薦票
    2.主要論文1編の別刷またはコピー1部
    注1)「1997年度日本数学会賞建部賢弘賞推薦票」は「数学通信」1巻3号 p.49-50 にあるものをコピ-して使って下さい.
    注2)2枚目以降には下記の内容を含めて,3枚以内にまとめて提出して下さい.
          1.自薦の場合:これまでの研究の概略と今後の研究計画,論文リスト
          2.他薦の場合:推薦理由,論文リスト
  • 応募期限1997年3月10日(必着)
    注1)封筒に「建部賢弘賞応募」と朱記の上,日本数学会事務局まで郵送にてお送り下さい.
  • 表彰式今回の受賞者の表彰式は,東京大学における1997年度秋季総合分科会第2日目10月1日に行います. 受賞者については,今年度は信州大学における年会の期間中に発表が可能となるように努力しています.

7.朝日賞受賞者について

荒木不二洋氏(東京理科大学教授,京都大学数理解析研究所前所長)が「物理学と数学の境界領域の開拓」の業績により,朝日賞を受賞され,授賞式が1997年1月20日に行われました.

8.井上賞受賞者について

1996年度井上学術賞が,加藤和也氏(東京工業大学教授)に対し贈られました. 受賞理由は「p進的方法による代数多様体の数論の研究」に関する業績です. 授賞式は1997年2月4日に行われました.

9.雑誌「数学通信」の学術刊行物の認可について

この度,雑誌「数学通信」が郵政省より学術刊行物の認可を得ました. したがって,会員の皆様にお送りするための郵送料が,この号より学術刊行物の料金となり,一般会計での大幅な節約が可能となりました

10.支部・分科会からのお知らせ

(1)幾何学分科会

第44回幾何学シンポジウムは1997年8月20日(水)から8月24日(日)まで,信州大学理学部で行われる予定です. なお,このシンポジウムの責任者は東北大学情報科学研究科の浦川肇氏です.
(佐々木 武 記)

(2)函数論分科会

  1. 1997年度函数論分科会委員は,石田久,今吉洋一,加藤崇雄,風間英明,児玉秋雄,志賀弘典,清水悟,鈴木紀明,寺田俊明,戸田暢茂,中西敏浩,水田義弘です. 函数論分科会に関する御意見,御提案は上記委員にお伝え下さい.
  2. 第40回函数論シンポジウムは,今吉洋一(阪市大),福井誠一(和歌山大)両氏のお世話で1997年7月14日(月)午後から7月16日(水)午前まで和歌山大学付属中学校で開催される予定です. 講演数は10前後を予定しており,その一部を公募します. つきましては,自薦,他薦を問わず奮って御応募下さい.
    講演時間は30分から50分を想定しています. 応募は氏名,所属,講演希望時間,講演題目に簡単な内容を添えて1997年3月10日までに

    739 東広島市鏡山1ー7ー1
    広島大学総合科学部数学教室
    水 田 義 弘
    電話:0824ー24ー6483(研究室)
    FAX:0824ー24ー6465(事務室)
    e-mail:mizuta@mis.hiroshima-u.ac.jp

    宛にお申し込み下さい.

(加藤崇雄 記)

(3) 京都支部

日本数学会京都支部平成9年度
評議員選挙結果

  • 投票しめ切り平成8年12月17日
  • 開票平成8年12月24日
    (於京都大学数学会議室)
  • 開票立ち会い荒井正治,河野明,八杉満利子
  • 開票結果有効投票数 94

上位4名氏名・獲得投票数・所属・前歴は次の通り

1位 河野 明 17・京都大学・平成8年
               度一期.
2位 荒井正治 13・立命館大学・平成8
               年度一期.
3位 松本和一郎 9・龍谷大学.
4位 伊藤正美  6 京都産業大学.
5位 5名    3.

以上の結果により,河野,荒井,松本の3氏を,平成9年度京都支部評議員として推薦することになりました.
なお,現評議員が協議した結果,以後選挙結果は,「数学通信」でお知らせすることにしました.そのほか支部に関する連絡は支部便りで行いますので,ご注意ください.
(文責 荒井,河野,八杉 記)

11.学術委員会

(1) MSJ-IRI 第7回日本数学会国際研究集会について

数学通信創刊号(1996年5月)で公募を行いました第7回(1998年4月から1999年3月の間に開催する)日本数学会国際研究集会(Matheーmatical Society of Japan International Research Institute,略して MSJ-IRI)のテーマ公募には下記のように全部で8件の応募がありました. 下記のように日本数学会国際研究集会選考委員会が開かれ,三宅克哉氏の提案である「類体論国際会議---類体論の100年とその明日への展望」が採択されました. 開催へ向けてよろしくお願いします.

  1. 日本数学会国際研究集会選考委員会委員:
    野口潤次郎(学術委員会委員長・座長), 小谷眞一(国際交流委員会委員長・副座長),青本和彦,小池正夫,砂田利一,谷島賢二, 森田茂之.
  2. 出席者:
    野口,小谷,青本,小池,谷島,砂田,谷島
  3. 日時:
    1996年9月13日 14:00~16:30
  4. 場所:
    東京大学数理科学研究科棟 503号室v)応募テーマ
  1. 類体論国際会議---類体論の100年とその明日への展望
  2. 計算可換代数と組合せ論
  3. Japan Workship on Graph Theory, Combinatorics and Computing
  4. 岩沢理論
  5. Fontaine-Mazur 予想
  6. 類体論再考--その呪詛から逃れるために
  7. 類体論と保型関数
  8. 類体論の非アーベル化

(2) 上記日本数学会国際研究集会(MSJ-IRI,1998年4月~1999年3月開催分)に対し,(財)数理科学振興会(広中平祐理事長)より100万円(中心的役割を演ずる海外からの数学者の招聘に50万円,内外の30歳以下の優秀な若手研究者の参加援助に50万円)の援助の申し出がありました. 数学会としましては,第7回MSJ-IRIを対象としてありがたく援助を頂きました.

(3) かねてより検討してきました日本数学会国際研究集会にかんする検討報告書が会報 117頁のように纏まり,1997年1月18日の理事会に報告書(本文8頁,資料42頁)を提出しました. 会員の方々からの色々な御意見をいただければ幸いに存じます.

(4) MSJ-IRIの運営は学術委員会が担当になっていまして,拙いものではありますが マニュアルも最近出来ました. 開催手順は次のようになっています:

  1. アイデア公募→
  2. MSJ-IRI選考委員会で候補案選出→
  3. 理事会で決定→
  4. 開催→
  5. 議事録出版.

より詳しくは,上記報告書本文最終頁をご覧下さい.

(5) Regional Workshop (RW) を現在,随時応募しております.主旨は会報 116頁にあるとうりです.皆様の応募を鶴首でお待ちしています. (以上連絡・御意見は全て,東工大・理・野口まで) (学術委員長 野口潤次郎記)

12.第六回日本数学会国際研究集会「高次元代数幾何学」第一回アナウンスメント

以下の要領で第六回日本数学会国際研究集会(The VIth MSJ International Research Institute)「高次元代数幾何学」を開催する予定ですのでお知らせします.

  • 主催日本数学会および京都大学数理解析研究所(共同主催)
  • 開催形態国際シンポジウムおよび小ワークショップ(ともにオープン形式)
  • 開催地京都大学数理解析研究所(京都市左京区北白川追分町)講義室およびセミナー室
  • 開催期間
  • 国際シンポジウム1997年6月2日(月)ー6月6日(金)
    18コマ程度の一時間講演
  • 小ワークショップ6月9日(月)ー6月13日(金)
    Alexeev, Bogomolov, Cortiら国際シンポジウム参加者によるフォロー・ アップ・セミナーおよび自由討論
  • 参加費無料
  • 主要海外参加者Valery Alexeev (Univ. Georgia)
    Fedor A. Bogomolov (Courant Inst.)
    Alessio Corti (Univ. Warwick)
    Sean Keel (Univ. Texas, Austin)
    Janos Kollar (Univ. Utah)
    松木謙二 (Purdue Univ.)
    M. Reid (名大多元数理/Univ. Warwick)
    Gregory Sankaran (Univ. Bath)
    V.V. Shokurov (Johns Hopkins Univ.)
  • 組織委員森重文(委員長,京大数理研)・川又雄二郎(東大数理)・斎藤恭司(京大数理研)・宮岡洋一(京大数理研)・向井茂(名大多元数理)
  • 実行委員森重文(委員長)・宮岡洋一
  • 問い合わせ先〒606ー01 京都市左京区北白川追分町
    京都大学数理解析研究所
    宮岡洋一
  • FAX075-753-7272
  • e-mailchie@kurims.kyoto-u.ac.jp

14.数学基礎教育ワーキンググループ報告

◇科研費総合研究「大学数学基礎教育の総合的研究」活動報告

本研究は97年3月をもって2年計画を終了. すでに報告しているように,今回は調査活動を主とした. 幸い全国の大学の協力を得て,大きな成果があった. 改めて皆様に感謝するとともに,今後の御協力をお願いしたい.より詳しい総括は「数学」の「WGだより」に掲載する予定である.
ここでは本年度後半の主な活動について報告する.

●公開研究集会「大学数学基礎教育の現状と課題」
1997年1月6日~8日に名古屋大学で行われた.参加者数56名

●報告書作成
全体ではかなり膨大になるので,本年度中に完成できるかどうか分からないが,できるだけ多部数作って一般に配布する予定である.

●教育体制調査部会
UMネットワークを通して教育体制基礎調査,大綱化による大学改革の実態調査を行っている.大学改革の事実経過と問題点を明らかにする.結果は報告書に掲載.

●専門教育内容調査研究部会
各研究班に分かれて,各々専門分野においてどの様な数学が必要となるかを専門教育の内容に沿って明らかにする.結果は報告書にまとめられる.

●学生学力調査研究部会
今年度後期分の調査を開始,各大学に調査を依頼した. 調査は1月末まで行われ,その後採点,分析が行われる. 前期調査は採点およびデータ入力が終わり,現在結果の解析中. 中間報告を報告書に掲載. これは経年調査.

●ネットワーク部門
数学基礎教育関連の独自のサーバーを設置して,ホームページを作成した.
http://msj.math.hc.keio.ac.jp
で到達できる.(以前のアドレスも有効)

なお報告集の内容はその殆どがここで入手可能になる.

◇中教審に対し,教育上の例外措置,特に「飛び入学」に関する要望書提出

「飛び入学」が教育改革の目玉として導入される可能性が高くなったため,これに対しその問題点を指摘する要望書を提出することとした(1月18日理事会決定). 本文は本号に掲載.

◇教育課程審議会に要望書提出

教育改革,特に次期学習指導要領改訂についての教育課程審議会からの意見聴取に応えて,要望書をまとめ(1月18日理事会決定), 1月28日に岡本理事長が浪川理事とともに文部省に提出した. この際初中教育担当審議官をはじめ,主要な担当者に面会して趣旨説明を行った.

◇他学会へ教育改革に関する協力活動の呼び掛けを送付(12月理事会承認)

大学基礎教育WG担当理事浪川の名前で,物理学会教育委員会,化学会化学教育振興専門委員会の各々の委員長に宛てて情報交換会の再開を呼び掛ける文書を昨年末に送付した.

◇指導要領改定関連の動き

  • 96年8月27日教育課程審議会発足.会長は三浦朱門氏.
  • 10月14日中央教育審議会の教育上の例外措置に関するヒアリングで名古屋大学多元数理科学研究科長四方義啓氏が呼ばれる.
  • 11月15日中教審に二つの小委員会が設置され,そのうちの第2小委員会が一人一人の能力・適性に応じた教育と学校間の接続の改善について審議することとなった.
  • 11月21日中学生の数学・理科学力国際調査の結果公表.日本はシンガポール・韓国に次いで3位となり,前2回の首位の座を明け渡した.
  • 97年1月21日中教審第2小委員会の木村孟座長がメモを提出,数学における飛び入学を行う案が提出され,原則的に了承された.
  • 1月24日文部省教育改革プログラムを発表.中教審答申に沿ってそれを政策的に先取りするものであるが,特定分野の大学入学年齢緩和をうたって,間接的に数学の飛び入学導入を示唆.

(数学教育WG担当理事 浪川 幸彦記)

15.来日数学者について

現在,来日中及び来日が予定されている数学者のうち,滞在期間を含めて本会に連絡があったのは下記の方々です. [ ]内は世話人です.

M. Cahen (Univ. Libre de Bruxelles)
   1995. 3.16-1997. 4.19  [前田 吉明]
A. Dandashi (ICQA,FANEX Australia)
   1996.10.17-1997. 9.30  [岡本   久]
R. Hang (Univ. Hamburg)
   1996.10.17-1997.11.14  [小嶋  泉]
P. Aviles (Illinois Univ.)
   1996.10.18-1997. 5.18  [儀我 美一]
P. Viry (Univ. of Pisa)
   1996.12. 1-1997.11.30  [中島 玲二]
V. P. Beronova (Bulgarian Academy of Sci.)
   1996.12. 3-1997.11.30  [岡本  久]
C. Marastoni (Univ. Paris V)
   1997. 1.11-1997. 2.15  [柏原 正樹]
F. Bogomolov (Courant Inst. for Math.
               Sci., New York Univ.)
   1997. 1.12-1997. 7.14  [宮岡 洋一]
S  Gutt (Univ. Libre de Bruxelles)
   1997. 3.24-1997. 4.19 [前田 吉明]
P. Dazord (Univ. Claude Bernard Lyon)
   1997. 4.24-1997. 5.25  [前田 吉明]
  報告
J.-U.H. Petersen (Queen Mary & Westfield
                  College, Univ. London)
   1994. 8.10-1996. 8.10  [三輪 哲二]
J. Zhu 朱 景輝 (厦門大学)
   1996. 9.21-1996.12.21  [岡本  久]
F. Hansen (Copenhagen Uni.)
   1996.11. 9-1997. 1. 2  [小嶋  泉]
R. Haag (Univ. de Bourgogne)
   1996.11.17-1996.12. 5  [小嶋  泉]
M. Flato (Univ. de Bourgogne)
   1996.11.17-1996.12. 5  [小嶋  泉]
D. H. Sternheimer (CNRS)
   1996.11.17-1996.12. 5  [小嶋  泉]
P. M. Wilson (Univ. of Cambridge)
   1996.11.17-1996.12.22  [宮岡 洋一]
M. Gross (Cornell Univ.)
   1996.11.28-1996.12.11 [森  重文]
D. Markouchevitch (Univ. Lille I)
   1996.11.30-1996.12.14  [森  重文]
S. J. Kang 姜 錫眞 (Seoul National Univ.)
   1997. 1.23-1997. 2.23  [柏原 正樹]

 なお,本年11月1日から現在(2月28日)までに当会と共催で講演をして下さったのは次の方々です.

I. Laine (Univ. of Joensuu, Finland)
S. Bocherer (Univ. Mannheim)
L. Vanhecke (Katholieke Univ., Leuven)

16.数学会通信の個人送付は1年2000円で

日本数学会では1992年度から数学会通信(公募ニュース,来日数学者,おしらせ等)を毎月発行し,数学系の諸機関にほぼ毎月送付しております. 1997年度4月分から数学会通信を個人宛に送付ご希望の方は下記の要領でお申し込み下さい. 1年につき,2,000円の費用のご負担をお願いします.
なお,数学会通信の内容(公募ニュース等)については,雑誌「数学通信」の誌面でも取りあげておりますが,1997年度の雑誌「数学通信」発行は4回の予定です.

  • 申込期限1997年3月31日(火)
  • 郵便振込先00150ー1ー179048
    社団法人 日本数学会
    (名簿綴じ込みの郵便振替用紙で,通信欄に,数学会通信1997年度分と明記下さい)

17.数学通信投稿欄について

「数学通信」の目的は,数学会理事会,評議員会,各種委員会の活動を全会員に伝達することと同時に,各会員の意見を表明する場のひとつを提供することにありました. もちろん,各会員は直接会って話す,手紙,電話,FAX,e-mail等々の手段により,お互いに様々な問題について意見交換を行っています. そのような意見交換を通して得た,ぜひともこれは全会員に対して表明したいということがらもあると思います.
そこで本号から「編集委員会への手紙」という投稿欄を作りました.数学全体に関する数学会会員の意見を歓迎します. ふるって投稿をお願いします.
(理事長記)

18.会費払い込みのお願い

日頃は会費の払い込みにご協力頂きまして,誠にありがとうございます.
この度も,下記の通り宜しくお願い致します.

  • 97年度前期会費を未納の方は,3月末日までにお払い込み下さい. (数学会では前納制をとっております.)
  • 96年度会費を未納の方は, 至急お払い込み下さい.

なお,

  • 既にお払い込み済みの方は,なにとぞご容赦下さい.
  • ご送金にあたりましては,会員名簿とじこみの会費払込票をご使用下さい.
  • 学割扱いをご希望の方は,送金毎に,必ず,在学証明書をお送り下さい.
  • 高齢会費をご希望の方は生年月日をご記入の上,書面にてお申し出てください. 最初に一度だけで結構です.

 1997年度前期会費 9,000円
   学割・高齢(70歳以上)6,000円
 1997年度後期会費 9,000円
   学割・高齢(70歳以上)6,000円

19.1997年度版会員名簿についてのお知らせ

本年秋に,1997年度版会員名簿の発行が予定されています.
前回の名簿 ( 1995年度版 ) 記載事項に変更または誤植があり,その後に変更(訂正)通知カ-ドをお送り頂いていない方は,1995年度版会員名簿綴じ込みの変更(訂正)通知カ-ドでお知らせ下さい.
また,eーmail address(一つのみ)の掲載をご希望の方も,変更通知カードでお知らせ下さい.

[提出締切日] 4月30日(水)

尚,変更訂正事項(□欄チェック)は正確にご記入下さい.
変更があってもお知らせがない場合は,古いデ-タのまま印刷されますのでご注意下さい. 以上,ご協力下さいますようお願い申し上げます.

 1997年度前期会費 9,000円        
     学割・高齢(70歳以上) 6,000円
 1997年度後期会費 9,000円        
     学割・高齢(70歳以上) 6,000円

 1997年度前期会費 9,000円        
     学割・高齢(70歳以上) 6,000円
 1997年度後期会費 9,000円        
     学割・高齢(70歳以上) 6,000円