第6回(2007年度)解析学賞
受賞者 |
業績題目 |
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会田茂樹(大阪大学大学院基礎工学研究科) |
無限次元空間上の確率解析 |
菱田俊明(新潟大学自然科学系) |
ナビエ・ストークス方程式における藤田・加藤理論の新展開 |
平井武(京都大学名誉教授) |
無限対称群およびその環積の既約表現ならびに指標の研究 |
【選考委員会構成】
石井仁司(委員長),磯崎洋,川又雄二郎(委員会担当理事),小薗英雄,岡田正已,辻元,吉田朋広,吉田伸生
受賞者 |
平井武(京都大学名誉教授) |
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業績題目 |
無限対称群およびその環積の既約表現ならびに指標の研究 |
受賞理由 |
平井武氏の無限対称群とその環積の既約表現及び指標に関する研究は位相群の表現論における画期的な業績といえる.これまでも,平井氏は一般ローレンツ群の既約表現の分類,実半単純群の指標の研究などの記念碑的な業績を挙げている.有限対称群については古くから盛んに研究され古典とも言える大理論が打ちたてられ,数学のみならず理論物理など多くの分野に豊かな応用をもたらしている.一方,無限対称群は,いわゆる非 I 型の群であり表現の既約表現への分解が一意でないなど,難しい研究対象といえる.そのため既約表現の代わりに因子表現を考えるわけであるが,1960年代に Thoma により無限対称群の因子表現の分類と指標の具体的な記述が与えられた.一方,因子表現の分類パラメーターを増大する Young 図形の漸近挙動により記述し,無限対称群の因子表現の指標を有限対称群の既約指標の極限として表すという結果が1970年代末に Vershik-Kerov によって得られた.これにより無限対称群と,有限対称群の古典理論が結びつき,これらの結果は,Okounkov などによって最近急速に進展しているランダム Young 図形の研究に大きく影響を与えている. |