理事長からのご挨拶

数学の発展と日本数学会

日本数学会 理事長 谷島 賢二

 数学は数千年の歴史の中で育まれてきた人類の文化遺産です。自然科学、社会科学、あらゆる科学の基礎にあってわれわれの生活を支えています。もはや人類の文化的な生活は数学なしでは考えられないほどです。数学を発展させ継承していくことは、それゆえ、われわれの責務です。

 日本数学会は「数学の研究を盛んにし、その普及によって学術文化の向上発展に寄与しようとする」ことを目的として設立された主に数学の研究・教育者5100余名からなる社団法人です。数学の研究を支援する様々な企画と実行、講演会・セミナーなどによる数学の普及と啓蒙、教育の改革あるいは数学研究の基盤整備などわが国の数学的な力の向上のための提言など、この目的を達成するための様々な活動を行っています。

 日本数学会は、1877年に会員数55名で発足した東京数学会社に始まりました。これは東京数学物理学会、日本数学物理学会と名実を変え1946年に日本数学会と日本物理学会の2学会にわかれて今日に至っていますが、この間のわが国における数学の普及はめざましく、数学の研究力も飛躍的に向上して、日本の数学者の貢献は世界で広く認知されるまでに至りました。日本数学会も微力を果して参りましたが、この結果は先人たちの大きな努力と、数学の重要性を理解された各界からの強い支援によって達成されたものです。

 日本数学会は数学の研究の発展とその普及につとめ、社会への貢献を続けていく所存です。皆さまのこれまでのご援助にあつく御礼申し上げるとともに、より一層のご支援をお願いする次第です。