日本数学会について

日本数学会について

日本数学会 理事長 鎌田 聖一

日本数学会は、数学の研究を盛んにし、またその普及をはかり、関係諸部面とも協力して学術文化の向上発展に寄与することを目的として設立された一般社団法人です。現在約5000名の会員を擁しており、主な会員は数学の研究者や教育者で、将来の数学の研究を担う大学院生も多く所属しています。

学会としての歴史は古く、その前身である東京数学会社は1877年に設立されました。その後東京数学物理学会、日本数学物理学会と変遷し、1946年に日本物理学会と組織を分ける形で、現在の日本数学会が設立されました。法人としては、1952年に社団法人、2012年に一般社団法人となり今日に至っています。

日本数学会は多様な活動を展開しています。学術的会合については、毎年春には年会を開催し、秋には秋季総合分科会を開催しています。これらの学術的な会合では、会員同士が集い、研究成果の発表や討論、情報の交換が行われます。また高木レクチャーや日本数学会季期研究所(MSJ-SI)などでは、世界的な研究者を日本に招き、専門分野を超えた研究者を対象に、若手研究者の育成にも力を入れた活動が行われています。

また、日本数学会は出版事業も行っており、「Journal of the Mathematical Society of Japan」「Japanese Journal of Mathematics」「数学」「数学通信」などの誌を定期刊行しています。さらに、「Advanced Studies in Pure Mathematics」や「MSJ Memoirs(数学メモアール)」などの刊行物もあります。

顕彰事業、研究奨励事業、国際交流事業など各種の事業を通じて、日本数学会は数学の普及や啓蒙活動、若手研究者の育成と研究の奨励、国際交流などに取り組んでいます。また、企画や講演会・セミナーなどを通じて、数学の普及と啓蒙にも力を注いでいます。

2020年以降、新型コロナ感染症の流行により、私たちの活動に制約が生じました。日本数学会でも主要な会合を対面で開催できなかったことは非常に残念でしたが、一方でオンラインプラットフォームを活用したリモートによる研究集会やセミナーなども各地で開催され、そのノウハウも普及しました。私たちは今回の経験を通して、対面での活動がいかに貴重であるかを再確認しましたが、同時に、オンラインプラットフォームやAI技術も活用した新しい時代への対応にも努めてまいります。

最後になりますが、皆さまのこれまでのご援助にあつく御礼申し上げるとともに、より一層のご支援をお願い申し上げます。