保育室を数学会会場に設置する基本理念と会場校の免責措置

保育室を数学会会場に設置する基本理念と会場校の免責措置

日本数学会2005年3月理事会で承認

1.  基本理念

性別等に関わらず全ての日本数学会会員が研究活動や職業を続けながら同時に育児を行うことを支援する為に、日本数学会は年会、秋季総合分科会期間中に保育室を設置する。
実務は男女共同参画社会推進委員会が行う。
なおこれは政府の内閣府男女共同参画局および日本学術会議の指導により作られた 「男女共同参画学協会連絡会」の学会時における保育室設置の理念に従う。

2.  日本数学会からの保育室利用料金への補助金支出の理由

日本の数学研究者の構成は、外国などと比べても女性の比率が少なく、非常に歪なものとなっている。大学などの学校の存続を脅しかつ国の将来も危うくする「少子化」を食い止め、男女の性別等による差別を無くし、将来必要な数学者や学生の数を確保するためにも、子供の保育が女性の研究活動の妨げとなっている現状を改める必要があり、そのため数学会は保育所の開設に補助金を出すことを理事会で決定している。

3.  学会会場内の設置について

これは学会会場内に保育室を設けることが 保育室利用者の極めて切実な要望であるという理由による。

その根拠は
- 講演の合間に親が様子を見に行きやすい
- 預けることが短時間ですむ
- 初めての保育場所でも数学会会員の子どものみで安心である
- 学会会場の近くに一時保育の可能な保育所を確保するのは難しい場合が多い、など。
学会会場内以外の場所では不安要素が増して利用されにくくなり、目的に矛盾する。

さらに加えて、「育児担当者のこのような切実な要望にまじめに耳を貸して 学会会場内に保育室を設けるという行為そのもの」が、 就職や昇進に影響すると考えて子どもを持つことを躊躇している 育児経験前の若手研究者にとって強い励ましになる、という点がある。 これは少子化を食い止め男女等の共同参画社会を実現するための、 基本姿勢の具体化の一つと認識している。

この「学会会場内での保育室設置」は 日本大学理工学部での平成17年春の年会から原則として毎回実施する。

4. 会場校の免責措置と保険

事故が起きないよう日本数学会は細心の注意を払うが、万一事故が発生したときに 備え、保育シッター会社の加入する賠償保険に加えて 年会、秋季総合分科会ごとの保育室の為に、日本数学会は賠償保険に入る。
「事故の場合に会場校および保育室担当者には 責任は無く、問える責任は同会が加入する損害保険において実際に支払われる金額の範囲にとどまる 」ことを 確認する「一時保育利用における誓約書」を、保育室利用時に必ず保育室利用者に 日本数学会理事長宛に提出してもらう。
「日本数学会は事故の無い様に万全を尽くし、且つ万一の事故の場合にも 責任は日本数学会の賠償保険の範囲とし、会場校および保育室担当者には責任は無い」 ことを明らかにした「差し入れ文書」を、年会、秋季総合分科会ごとに会場校の大会委員長、必要があれば大学長あるいはそれに相当する人物あてに日本数学会理事長が提出する。
<一時保育室利用に関しての誓約書はこちらのpdfファイル>
<大学宛の連絡文書はこちらのpdfファイル>
<保育室に関する確認書(差し入れ文書)はこちらのpdfファイル>