日本数学会ビデオアーカイブ

市民講演会 2017年度年会

  • 日時2017年3月26日(日) 15:30〜16:30
  • 会場首都大学東京 講堂大ホール

講演者

小林 正典 (首都大学東京大学院理工学研究科)

講演題目

リアルな代数幾何 ~メビウスの帯からトロピカル曲線まで~

講演概要

幾何学の中でも, 円や放物線のように方程式で定まる図形を研究するのが代数幾何です. 身の回りの図形は実数の座標で表すのが自然ですが, 図形を式に対応させて考えるときはいったん複素数の座標に拡張するのが普通です. なぜなら「代数学の基本定理」のおかげで綺麗に議論できるからです.
しかし実数の世界にも「実代数幾何」があります. テープを一回ひねってから輪にしたものを「メビウスの帯」と呼びます. その中央を切ると一本の大きな輪になります. ではいくつかつなげてから切るとどうなるでしょうか. ここに「史上最悪の難問」とも呼ばれる入試問題の背景が隠れています. 問題解決にあたって, 代数幾何だけでなく数学の基本的な考え方がいくつか役立ちます.
さらに実数でも代数学の基本定理が成り立つ体系があり, 対応して今世紀に登場したのが「トロピカル (熱帯) 幾何」です. 特にトロピカル曲線について説明しますが, 離散事象システムへの応用にも触れる予定です.

講演資料

www.mathsoc.jp/outreach/2017haru/kobayashi20170326.pdf

参考URL

「数学通信」22巻2号の記録
www.mathsoc.jp/publication/tushin/2202/2202kobayashi.pdf