2018年度日本数学会出版賞

2018年度日本数学会出版賞

2018年度日本数学会出版賞は以下の方に授賞されます。

遠藤寛子氏「算法少女」(ちくま学芸文庫,筑摩書房,2006年/初版は岩崎書店,1973年)
安永四年に刊行された和算書「算法少女」の成立をめぐる史実を下敷きにして,千葉あきという13歳の少女を主人公に,江戸時代において和算がいかに庶民のあいだに広まっていたかを生き生きと描き出した少年少女向けの歴史小説である.本書は,和算のみならず学問の魅力が一般向けに描かれていること,和算の雰囲気をなるべく正確に伝えていること,本書を原作とした漫画・アニメーション作品も発表されていることから,誰にでも楽しめる数学啓蒙書であり,本賞に相応しいものである.
奥村晴彦氏,黒木裕介氏「LaTeX2e美文書作成入門」(技術評論社,第7版,2017)
本書は1997年に初版が刊行されて以来,改訂を重ねているロングセラーの書籍である.LaTeXのオーソドックスな基礎知識かつ最新情報を得られる書籍として定評があり,長年にわたって数学関連分野におけるLaTeXの普及に多大な貢献をしたと考えられる. 日本語LaTeXは本書で紹介されているアスキー系のpLaTeXのほかに,NTT-JTeXなど多くの先達の努力の積み重ねによって発達したものであり,そうした過去の取り組みについても大いに評価しなければならないが,本賞が「出版活動などの著作活動」を対象としていることに鑑みて,本賞に相応しいものである.