2021年度秋季総合分科会

市民講演会

市民講演会

日時
9月18日(土)14:00--15:10
会場
オンライン
主催
日本数学会
後援
千葉大学理学部数学・情報数理学科
プログラム
14:00--14:10 挨拶 清水扇丈(日本数学会理事長・京都大学)
14:10--15:10 講演 野口潤次郎(東京大学/東京工業大学 名誉教授)
         「数学と言葉 ---岡潔生誕120年によせて---」
講演概要
大分前のことですがヨーロッパ言語圏の数学者に「日本の数学者は,いったいどんな言語で数学をやっているのか?」と聞かれることが何回かありました.そのときは,「もちろん,日本語でやっている」と答えはしたのですが,何か吹っ切れない感じもして,心の端に残っていました.比較的最近になって,何人かの日本の数学者に次のような質問をしました.
質問:数学の記述は,言語として日本語の中にちゃんとembeddedされているか?
返ってきた答えは,全て‘No’でした.これは,どういうことでしょう.たしかに,巷の話しとして,数学や自然科学が関係する新書版を出すときに,縦書きを横書きにすると,販売部数は1/2し,さらに数式を一つ出すごとに何分の1か減る,ということを聞いたことがあります.数値はともかくとして,数学の記述様式が言葉として日本の社会に受容されていない様子が現れています.したがって,この問題は広く数学の教育にも関係してきます.
さて今年は,日本の産んだ天才数学者・岡潔博士の生誕120年に当たります.岡先生は,「言葉」をたいへん大事にしました.現在は,奈良女子大学付属図書館のウェッブサイトに‘岡潔文庫’というのがあって,岡先生ご自身の手稿のイメージ画像などを見られるようになっています.岡先生は,初め日本語で論文を書き上げ,それを後にフランス語に翻訳するという方法をとっていたことが分かります.
岡理論は,難解であるとされています.岡論文を理解するには,真の努力を必要とするが,その後には世界が大きく広がる(H.カルタン,岡潔全集,シュプリンガー社より)という内容をもっています.今回の講演では,岡理論の簡短化の試みの現状について話し,それにちなんで,初めに述べた数学の言語表現に関する問題を参加者の皆様と共に考えてみたいと思います.

参加申込
https://www.mathsoc.jp/activity/meeting/chiba21sept/appli-shimin.html

  1. 申込締切 2021年9月8日(水)
  2. 参加者多数の場合には締切前に申込を終了することがあります.
  3. 参加登録いただいた方には,9月15日頃までにZoomのリンクをお送りします.