第11回岡シンポジウム 日時:2012年12月15日(土)〜16日(日) 場所:奈良市北魚屋西町 奈良女子大学理学部数学教室 新B棟4階 階段教室 プログラム 12月15日(土) 13:30-15:30 林 正人(名古屋大学多元数理科学研究科)  タイトル:古典・量子情報における情報量の階層構造 アブストラクト:古典・量子における情報理論においては情報源圧縮, 通信路符号化などの様々なタイプの情報処理を扱う.これらの情報処理は, 最適性能が符号化ブロックサイズnに関して線形に増加することから, その係数を求めることが主眼となっている.しかし,このようなタイプの 議論だけでは,有限のブロックサイ ズのときの最適性能を近似的にさえ 見積もることができない.近年,有限ブロックサイズの最適性能評価のため, 様々なアプローチが提案されている.これらの手法の間の優劣は, 想定している状況に応じて決まるため,優劣を端的に答えることはできない. 本講演では,それらの手法の間に階層構造があることを紹介し,階層構造を 適切に理解することで,これら複数の手法の間の関係を明らかにする. 16:00-18:00 藤本坦孝(金沢大学名誉教授) タイトル:値分布論とその応用 ― 不如意な研究の回顧 アブストラクト:複素平面からn次元複素射影空間内への正則写像に 対する値分布論とその応用に関連して講演者が得たいくつかの結果を解説する. ピカールの定理の拡張や一意性の問題等を論じ,さらに,空間内の完備極小曲面の ガウス写像がもつ値分布論的性質について述べるつもりである. 18:30-20:30 夕食会 12月16日(日) 10:30-12:30 中村 郁(北海道大学名誉教授) タイトル:アーベル多様体のモジュライのコンパクト化 アブストラクト:平面3次曲線のモジュライから出発して, いかに高次元のアーベル多様体のモジュライの, 自然な(たぶんひとつしかない本当に自然な)コンパクト化を構成するか, を(わかっている範囲で)解説します. 14:00-16:00 志賀弘典(千葉大学名誉教授)  タイトル:超幾何的K3モジュラー函数 アブストラクト:高木貞治「近世数学史談」に“書かれなかった楕円関数論 ”の 一章がある.そこには,Gaussの超幾何函数,JacobiのTheta函数, Abelの虚数乗法の三幅対によって,あるべき楕円函数論の姿が整うという記述がある. 長い年月,楕円曲線をK3曲面に置き換えて“ 書かれなかった楕円関数論 ”の拡張版を 展開したいと考えて来た.その幾つかの例と背景,さらに,まだ果たせないでいる 諸点について述べたい. 夕食会の会場は未定ですが,ご参加頂ける方は12月7日までに下記にご一報頂ければ 幸いです. 奈良市北魚屋西町 奈良女子大学理学部数学教室 松澤淳一 このシンポジュウムは,岡潔シンポジュウム実行委員会と,組織的な大学院教育改革 推進プログラム「理系の実践型女性科学者育成」の継続プログラムとの共催で行います.