分科会便り

[統計数学分科会]

 

1.統計数学分科会評議員候補者(2004年度)の投票結果について

 昨年1014日に往復葉書を発送し1031日締め切りで上記選挙を実施しました.749名の有権者(2003年4月現在の学会事務からの宛名リスト)に投票をお願いしました.投票総数は155票でした.その結果,笠原勇二(お茶の水女子大学)さんが第1位となり,本人の了解を得て,日本数学会に報告いたしました.

 

2.日本学術会議(7月開催)の報告

 吉村 功第18期会員の後任として第19期日本学術会議会員に選ばれました.重責に身が引き締まる思いです.吉村前会員の方針を引き継ぎ,学会との密な連携を目指して日本学術会議の報告を逐次行って行きたいと思っています.よろしくお願いいたします.

 7月22日―24日に第140回総会(19期第1回総会)が開催されました.会長,役員,各種委員会委員の選出が主な議題でした.2期以上にわたって会員を続けておられる方が過半数以上おられることに驚きました.総会や部会は,それら常連の方々のイニシアチブの下で進行し,すべての初体験者がそうであるように目を白黒にしている間に終了しました.新会長には,黒川 清会員(第7部:東海大学総合医学研究所教授),新副会長には戒能道厚会員(第2部:早稲田大学法学部教授,名古屋大学名誉教授),岸 輝夫会員(第5部:物質・独立行政法人材料研究機構理事長)が選出されました.また,統計学が所属する第4部の部長は,郷 信広会員(日本原子力研究所特別研究員,京都大学名誉教授)が選出されました.現在19期の活動方針と活動計画が検討されています.以下,私どもに関連ある統計学研究連絡委員会(以下,統研連と略記)とその周辺の報告です.

・統研連の委員について

 統研連は,日本統計学会,行動計量学会,応用統計学会,日本計量生物学会,日本計算機統計学会,日本数学会統計数学分科会の6学会から選出された委員,および日本学術会議の7つの部の各部から推薦された日本学術会議会員から構成されています.他の研連とは異なって,日本学術会議の各部から会員1名が加わっているのが特徴です.統計学の学際性が考慮されています.18期までは,統研の定員は14名でした.しかし,すでに吉村前会員から報告されたように「課題別研究連絡委員会」発足のため第19期では定員が1名削減されました.このため,日本統計学会には委員を2名から1名に減らしていただき,他の5学会には,従来どおり1名をお願いすることにいたしました.研連の委員は10月下旬ごろに正式任命の見込みです.

・研連の将来について

 吉村前会員の報告ですでにご存知のように,日本学術会議は新体制に向けて大改革されます.その大枠は第18期の改革推進委員会の議論を経てすでに決まっており,すでに来年4月の国会上程を目指して,法改正に向けた作業が関連省庁で進行中とのことです.新体制の日本学術会議では,従来の「研究連絡委員会」は消滅し,代わって時限的に設定される「課題別委員会」が構築されます.したがって19期の統研連は最後の統研連となり,任期も短縮される見込みです.「課題別委員会」の「課題」は学問「分野」により構築することもできるし,また「新たな課題」ごとに組織することもできると言われています.第19期統研連の重要な役割は,統計学関連学協会と密接な連携を保ち続けることができ,かつ時代の要請を反映した「課題」を冠した統計学関連の「課題別委員会」をいかにして構築するかについて英知を傾注することにあるのではないかと推察されます.

 なお,新体制での日本学術会議は,現行の7部制を「人文社会系」「生物生命系」「理工系」の3部へ,現行2370名の研連委員と同数の「連携会員」を設け「課題別委員会」に配属する.また,日本学術会議会員は,「選考委員会」を設置し30名程度の委員を委嘱,「選考委員会」が現行と同数の210名を選考する方向で法制化されるようです.法案は大枠だけで,細かなところは新しい学術会議で決定の方針と言われていますが,学協会・学問領域から距離をおき,浮いてしまった「科学アカデミー」となる可能性が強く心配されています.そうならないように19期日本学術会議の動向を,特に厳しい目で見ていく必要があるのではないでしょうか.(柳川 堯(九州大数理))

 

3.日本学術会議の報告

 10月末に日本学術会議第141回総会が開催され,第19期の活動方針・計画が採択されました.第19期においては,「社会のための学術」を基軸にしつつ,以下のような具体的な課題ごとに8つの特別委員会を設置し,その活動を中心に短期的,長期的課題に機能的に対処していくことになりました.設置された課題は以下のようです.「子どもの心」,「安全・安心な世界と社会の構築」,「循環型社会と環境問題」,「若者の理科離れ問題」,「大都市をめぐる課題」,「人口・食料・エネルギー」,「生命科学と生命倫理」,「水産業・漁村の多面的機能に関する問題」.課題の羅列だけでは,その内容を把握するのは難しいと思います.興味ある方は日本学術会議のホームページ(http://www.scj.go.jp/)をご覧ください.

 以下,私どもに密接な統計学研究連絡委員会(以下,統研連と略記)の報告です.

1)統研連の委員について

 前回の報告でも述べましたが,統研連は,日本統計学会,行動計量学会,応用統計学会,日本計量生物学会,日本計算機統計学会,日本数学会統計数学分科会の6学会から選出された委員,および日本学術会議の7つの部の各部から推薦された日本学術会議会員から構成されています.他の研連とは異なって,日本学術会議の各部から会員1名が加わっているのが特徴です.次の方々が委員に決まりました.なお,委員長に柳川,幹事は岸野,竹村両委員が選定されました.

 袖井孝子(第1部:御茶ノ水女子大教授:統計審議会委員)

 山本吉宣(第2部:東大・院・総合文化研究科教授)

 松田芳郎(第3部:東京国際経済大・院・経済学研究科長)

 柳川 堯(第4部)

 久米 均(第5部:中央大・理工・経営システム工学科教授)

 塩見正衛(第6部)

 佐藤 洋(第7部:東北大・院・医学系研究科教授)

 岸野洋久(日本計量生物学会:東大・院・農学生命科学研究科教授)

 佐藤義治(応用統計学会:北大・院・工学研究科教授)

 白旗慎吾(日本数学会統計数学分科会:阪大・院・基礎工学研究科教授)

 竹村彰道(日本統計学会:東大・院・数理情報工学系研究科教授)

 馬場康維(日本計算機統計学会:統計数理研究所教授)

 岩坪秀一(日本行動計量学会)

2)第1回統計学研究連絡委員会

・科研費補助金に関する動向

 次年度から総合科学技術会議の方針で,学術会議の推薦のみでは決めないことになる予定です.すなわち,学術振興会では,各方面の情報をもとに,プログラム・オフィサーとよばれる専門員をえらび,プログラム・オフィサーが審査委員を選定する体勢となります.このため,学術会議から推薦した候補者が必ずしも審査委員とならないこともあるそうです.

・キーワードの見直しについて

 上のことに関して,今後はキーワードと審査員の対応が重視されるようです.キーワードを若干整理しかついくつかのキーワード追加の提案を行いました.

3)研連の活動方針

・統計学関連の「課題別委員会」構築をおこなう.

・第18期に引き続き統計学関連学会の強調を推進する.とくに,各学会にお願いして,統計科学の研究を志す学生の勧誘を目的とする各学会のPRや統計の紹介の文章を集め,それらをもとにホームページを立ち上げることにしたい.また,ホームページに高校における統計教育等に役立つ総合科目の例などを掲載することも検討したい.各学会からの絶大な協力を期待します.(柳川 堯(九州大数理))

              (連絡責任評議員 白旗慎吾,大阪大学基礎工学研究科)