数学通信第10巻第2号分科会便り

[統計数学分科会]

 

 

1.評議員候補者の選挙について

 

  統計数学分科会では,毎年,数学会に推薦する2名の評議員候補者のうち,交代

する一名を投票によって選出しています.そのため,所定の原則に従って候補者の

推薦をお願い致します.(ルールの詳細は数学通信第5巻第1号に再掲しました

「日本数学会評議員候補者の推薦に関する原則」によります.)

  (1) 締切 2005年9月9日(金)

  (2) 分科会会員は記名で,分科会会員の中から一名を推薦できます.

  (3) 笠原勇二(任期満了),栗木哲(任期中)の推薦は無効です.

  (4) 選挙管理者(推薦の送り先)

      〒106-8569 東京都港区南麻布 4-6-7

      情報・システム研究機構 統計数理研究所

      栗木哲 宛

  なお推薦に当たっては事前に被推薦人の意向を確認していただくよう

お願いいたします.

 

 

2. 日本学術会議の報告

 

  柳川堯(日本学術会議第4部会員,久留米大学バイオ統計センター)

 

  日本学術会議は,2004年9月から,主要な動き等を会員に知らせるため会員宛メール

でニュースの配信を開始しました.その後,メールの配信を研究連絡委員会委員や

リンクを設定した学協会宛に広げてきました.ご覧になっていない方は直接,日本

学術会議ホームページ(http://www.sci.go.jp)を開いてください.学術団体主催

研究集会・共同主催国際会議の案内,日本学術会議の改革,日本の科学技術政策の

要諦なども掲載されています.

 

  4月19日(火)から21日(木)まで,春の総会が開かれました.日本学術会議は

4月1日に総務省から内閣府に移管された最初の総会であったことから,4月19日(火)

には,棚橋泰文科学技術政策担当大臣が,翌20日(水)には,細田博之内閣官房長官

がお見えになり,ご挨拶がありました.総会では,「大都市における地震災害時の

安全の確保について(勧告)」が提案,採決され,首相官邸において,黒川清会長

から小泉純一郎内閣総理大臣に対し,勧告が手交されました.勧告の要点は以下の

ようです.勧告の実施においては,データをとり根拠に基づく対策を立てるという

ことが不可欠であり,まさに統計科学の活躍が期待されるところです.

  (1) 地震防災上の最重要課題として,既存不適格構造物の耐震性強化(耐震補強)

及び危険な密集市街地の防災対策の推進のため,必要な法改正をはじめ抜本的な

対策を立て早急に実行に移すべきである.

  (2) 大規模化・複合化する都市地下空間について,地震をはじめとする災害に

対する統合的防災基準及び危機管理体制を確立することが必要である.

  (3) 大都市の広域災害時における安全確保対策として,病院船の建造や感染症

対策等の救急医療体制,また,情報・通信インフラ,大深度ライフラインによる

重要業務集積地域への支援体制,及び広域災害時の防犯対策などを早急に整備する

必要がある.

 

  7月に英国でG8サミットが開催されます.ブレア首相は「気候変動」と

「アフリカ」の二つをテーマとして選んでいます.これに先駆けて,G8サミット

では初めてのことですが,G8アカデミーの宣言が出される予定です.政治家の

会議の前に学術的エビデンスに基づく宣言をだしておくというのが趣旨です.

21世紀の世界の政治は「人口問題」,「環境問題」,「南北格差問題」が底流と

なって展開すると予想されていますが,これらの問題は政治家だけでは手が及ばない

科学の問題と深く関わっています,世界主要国の科学アカデミーが協力して,政治家

が行う会議の前に科学者の会議を行うことの重要性を黒川清会長は繰り返し主張

されています.日本の科学者コミュニティの叡智を結集してそれに貢献することが,

今後の日本学術会議の一つの大きな在り方であると思われますが,これらの

問題は,いずれも不確実性に支配されています.不確実性といえば統計科学です.

統計科学の出番が大きく期待されるところです.

 

 

3.科研費シンポジウム等

 

  2005年度統計数学分科会関連の科研費等によるシンポジウム計画一覧を

統計数学分科会ホームページ

  http://www.sigmath.es.osaka-u.ac.jp/msj_sps/

に掲載しましたのでご覧下さい.

 

(連絡責任評議員  栗木哲,統計数理研究所)