第 13 回岡シンポジュウム
日時:2014 年 12 月 6 日 (土)〜7 日 (日)
場所:奈良市北魚屋西町 奈良女子大学理学部数学教室 新 B 棟 4 階 階段教室


プログラム

12 月 6 日 (土)

13:30 - 15:30
満渕俊樹 (大阪大学大学院理学研究科)
タイトル:Extremal K¨ahler 計量の存在問題と Donaldson-Tian-Yau 予想
アブストラクト:K¨ahler-Einstein 計量の存在問題に関する
Donaldson-Tian- Yau 予想は,最近 G.Tian や Chen-Donaldson-Sun により
解決したが,K¨ahler- Einstein 計量の一般化である定スカラー K¨ahler 計量や
Extremal K¨ahler 計量については未解決問題として知られている.
この話題の最近の進展について論じる.

16:00 - 18:00
宮岡 洋一(東京大学大学院数理科学研究科)
タイトル:Bogomolov-Miyaoka-Yau 不等式をめぐって
アブストラクト:半安定束ベクトル束の Chern 類に対する Bogomolov 不等
式と,一般型多様体に対する Miyaoka-Yau 不等式について,その相互の関連,
多様な証明法とそれらの比較,Reider 理論や3次元代数多様体論等,各種の
応用,Higgs 束への一般化などといった話題を取り上げる.

18:30 - 20:30
夕食会


12 月 7 日 (日)

10:30 - 12:30
江口徹 (立教大学理学部)  
タイトル:K3 曲面と Mathieu moonshine
ア ブ ス ト ラ ク ト:K3曲面上にコンパクト化した超弦理論は
N=4superconformal 代数 (N=4SCA) の対称性を持つことが知られていま
す.そこで K3 曲面の楕円種数を N=4SCA の表現の指標で展開する事が出来
ますが,我々は数年前にその展開係数がマシュー群 M24 の既約表現の次元の
和で書ける事に気がつきました.この現象はモジュラー J 関数の展開係数をモ
ンスター群の表現の次元の和で表す有名な Monstrous moonshine の現象に似
ているため,Mathieu moonshine と呼ばれています.Mathieu moonshineは
まだ其の説明が与えられていませんが,関連した新しい moonshine 現象も幾
つか見つかり研究が進んでいます.今日はその様子をお話しします.

14:00 - 16:00
平井武(京都大学名誉教授)
タイトル:群の Gelfand-Raikov 表現と群上の正定値関数 ー今昔ー
アブストラクト:Gelfand-Raikov は論文 [GR, 1943] において,群 G 上の正
定値関数から G の巡回表現を構成する一般的な方法を提示した.そしてその
系として,「局所コンパクト群は十分沢山のユニタリ表現を持つ」ことを初
めて示した.この構成法は,一般的な位相環に対する場合を含めて今日では
GNS construction と呼ばれている.この epoch-making
な論文に敬意を表して,(ここでは)群に対しては GR 表現と呼ぶことにする.
その後,「群上の正定値関数と GR 表現」,「正定値関数と因子表現」等々に関して,
多くの研究が行われてきた.さらに,無限対称群等のいわゆる局所有限の離散群に
ついては,その方向への特別の発展が見られた.こうしたことを概観したい.
[GR]I.M. Gelfandand D.A. Raikov, Irreducible unitary representations
of locally bicompact groups, Amer. Math. Transl.,36(1964), 1-15
(Original Russianpaper in Mat. Sbornik,13(55)(1943), 301-315).