研究集会「ポテンシャル論に現れる逆問題と求積公式」 日時  : 2013 年 3 月 3 日 (日) 13:00 〜 17:40 会場  : 東北大学大学院情報科学研究科 2F 中講義室 開催趣旨: 求積公式に関する研究は多岐に渡り, 各分野において独自のアイディアが育まれてきた.      本研究会では, 各講演者による解説を通して分野横断的に各研究のアイディアを共有する場を設け,      新しい研究の方向性を創出することを目的とする. 講演者 : 緒方秀教 (電気通信大学), 平尾将剛 (東京女子大学), 小野寺有紹 (九州大学) 【敬称略】 組織委員: 小野寺有紹 (九州大学), 宗政昭弘 (東北大学) ※ 本研究集会は東北大学重点戦略支援プログラム「数学をコアとするスマート・イノベーション融合研究共通基盤の構築と展開」の援助を受けて開催されます. ---------------------------------------- 以下, 講演要旨 ------------------------------------------------------ 13:00〜14:20 小野寺有紹 氏 (九州大学) 求積領域序論 <概要> 古典的な意味での求積領域は, 任意の正則函数に対して求積公式が成り立つ複素平面内の領域を指す. すなわち, 任意の正則函数に対し, その領域上での積分値がある (あらかじめ定められた) 有限個の点での函数値の線形結合と常に等しくなる領域である. 本講演では求積領域に関する基礎的な結果について概説する. また, 最近の講演者の研究結果についても述べたい. 14:40〜16:00 緒方秀教 氏 (電気通信大学) 代用電荷法とその発展 <概要> 代用電荷法はポテンシャル問題の数値解法であり, 解を点電荷ポテンシャルの重ね合わせで近似する方法である. 発想が素朴で計算が簡単な割には, ある条件下では高精度を達成する (指数関数的収束する) という特徴をもつ. 本講演では代用電荷法の入門的なことから, 発表者による近年の発展的研究, 具体的には, 周期的領域問題に対する代用電荷法, 双極子を用いた代用電荷法などについて解説する. 16:20〜17:40 平尾将剛 氏 (東京女子大学) Cubature公式の存在問題と構成 <概要> ある次数以下の全ての多項式の積分を考える. Cubature 公式とは, それらの積分値を有限個の点での重み付き平均として正確に与える公式のことである. この公式は数値解析をはじめ諸分野において, その存在問題, 構成法及びそれらの応用が研究されている. 本講演では cubature 公式を求める積分のクラスとして, ガウス積分を含むような回転対称性を持つ積分に話を限定する. このクラスの積分に対する cubature 公式はある多重同心球面上の積分に対する cubature 公式として実現することができ, これは代数的組合せ論における球面上のデザイン理論と密接な係りを持つからである. 本講演では cubature 公式の存在問題及び構成法を通じ, cubature 公式とデザイン理論及びその背後にある直交多項式の(共通)零点集合との関係に関して紹介する. また時間が許せば, cubature 公式の確率論, 統計学への応用を紹介する.