================================================================== THE SYMPOSIUM ON CELESTIAL MECHANICS 天体力学N体力学研究会 ・ちばN体2010 開催案内(第3報) テーマ 天体力学における計算手法 ``Computations and Calculations in Celestial Mechanics'' ================================================================== 趣旨:  今年度の天体力学N体力学研究会を「天体力学における計算手法」を テーマに開催します.  解析的手法が唯一の手段であった時代に比べれば,計算機の登場で, 天体の軌道を簡単に計算できるようになったといえます.しかし,多数 の数値積分から力学的な知見を得るには,効果的な抽象化・可視化の技 術が必要です.また,数値積分それ自身も,一見平易に見えて,近接遭 遇や,永年誤差の蓄積への対処が求めらます.  具体例を挙げれば,Poincare写像,Fast Lyapunov Indicator,記号力 学などは,軌道の可視化に役立つ性質を抽出する手法と捉えることがで きます.また,KS変換,McGehee変換,``Chain Method''などの技法によ り衝突特異点が取り除かれ,一般の積分法での数値積分が可能になり, 線形多段法,多様体補正法などのN体系の保存系としての性質を取りこ むことで,永年誤差の蓄積への対処をしています.  また,Chenciner and Montgomery による「8の字」軌道をはじめとする, ひとつの閉曲線をN体がトレースする,Choreography Solution(舞踏解) の発見が相次いでいます.これらの解は数値計算で見つかったものであり, 厳密な存在証明は,純数学的手法に限られていましたが,Kapela and Zgliczynskiは,精度保証計算を行うことで,計算機を援用した証明に成功 しました.また,Kapela and Simo は精度保証により8の字解の線形安定性 を証明しました.  このような,計算機の天体力学/力学系への計算機の活用事例を背景と して,天体力学上の知見とともに,それを実現する手法に焦点を当てた 研究発表,チュートリアル,あるいは,ノウハウ紹介を広く募集します. キーワード: 1. 高精度軌道計算:  精度保証/任意精度計算 正則化 (KS変換,Mikkola's Chain Method) 線形多段法,シンプレクテック法,多様体補正法 2. カオス系の可視化:  Poincare断面 Laypnov Indicator 記号力学  エスケープ判定 3. ソフトウェアの利用/開発: 数式処理系 (Mathematica, Maxima, Maple,その他,特定目的の処理系) 周期解分岐の数値的探索 (AUTO) プログラム:(敬称略)  3月19日(金)  (座長: 関口昌由)  13:00-14:00 <<招待講演>>   山本野人(電気通信大学)   常微分方程式の精度保証付き計算の技法と利用法  14:10-15:10 <<招待講演>>   荒井迅(北海道大学)   Interval Krawczyk Method とその力学系への応用  15:30-16:30 <<招待講演>>   中宮賢樹(JAXA)   次世代赤外線衛星SPICAの安定多様体を用いたハロー軌道への軌道設計と   SPICAのハロー軌道での軌道保持の解析  16:40-17:10 <<招待講演>>   坂東麻衣,山川宏(京都大学)   ハミルトンヤコビ方程式を用いた宇宙機の軌道移行問題の数値解法  17:15-17:45   Alberto Escapa(Universidad de Alicante/国立天文台)   ハミルトン形式による非剛体地球モデル  17:45-18:30   ポスター発表  19:00-   懇親会      にて  3月20日(土)  (座長: 柴山允瑠)  9:15-9:45    山口喜博(帝京平成大学)   エノン写像における軌道の記号化  9:50-10:20    押野翔一(総合研究大学院大学)   大粒子数を扱える惑星形成過程向けハイブリッドN体シミュレーション   コードの開発  10:25-10:55    藤原俊朗(北里大学)   1/r^2 ポテンシャルの下での三体8の字解が満たす   (ある)二階の斉次線形微分方程式について --三体は U(2) で舞う--  11:10-12:10 <<招待講演>>   矢ヶ崎一幸(新潟大学)   コンピュータソフトウエアAUTOによる,周期軌道および安定/不安定多様体,   ホモ/ヘテロクリニック軌道の数値計算 (昼食)  (座長: 齋藤正也)  13:20-14:20 <<招待講演>>   樋口有理可(東京工業大学)   素過程にわけて考えるオールト雲形成  14:30-15:30 <<招待講演>>   藤原宏志 (京都大学)   PC・クラスタ向きの多倍長計算環境の開発と科学技術計算での利用  15:50-16:50 <<招待講演>>   荻田武史 (東京女子大学)   精度保証付き数値計算とロバストアルゴリズム  17:00-17:30    福島登志夫(国立天文台)   半角公式による楕円積分・楕円関数の高速計算 ポスター発表(五十音順)   伊藤孝士(国立天文台)   月面での非対称クレーター形成と小惑星   齋藤正也 (統計数理研究所)   階層三体系におけるランダムウォーク的進化の検証   柴山允瑠(京都大学)   超8の字解の存在証明   関口昌由(木更津工業高等専門学校)   対称型4点渦系の定性的研究 ‐舞踏解の存在‐ 期日: 平成22年 3月19日(金)・20(土) 会場: 千葉大学(西千葉地区)自然科学系総合研究棟2号棟 2階マルチメディア講義室 (最寄駅 JR総武線・西千葉駅)  下記リンク先の地図をご覧ください.地図中20番の建物です.   参加費: 無料 懇親会:  3月19日(金)19:00から    にて開催します。 世話人: 齋藤正也, 柴山允瑠,関口昌由, 谷川清隆