研究集会のお知らせ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~  例年秋に開催している研究集会 SNP (Singularities arising in Nonlinear Problems)も今年で9回目を迎えました.本研究集会では 通常の講演に加えてチュートリアル形式の連続講義を数多く設け, 参加者全員で討議する合宿形式の勉強会を目指しています.  皆さま,ふるってご参加くださいますよう,ご案内申し上げます. なお,宿泊の申し込みは,全プログラムが確定する9月末頃から受け 付ける予定です. 俣野 博 (東大・数理) --------------------- 記 ------------------------- ○ 研究集会の名称:「非線形問題に現れる特異性の解析 (SNP2005)」 ○ 日程:2005年11月28日(月)-- 30日(水) ○ 場所:関西セミナーハウス 606-8134 京都市左京区一乗寺竹ノ内町23 Tel (075)711-2115 Fax (075)701-5256 (JR 京都駅から地下鉄烏丸線北山駅下車(2番出口), タクシーで約10分;または JR 京都駅から市バス 5系統で「修学院道」下車,徒歩15分) ○ 連続講義(各3回ずつ)の内容(一般講演については後日発表): (1) Thierry Gallay (グルノーブル第1大学)  「ナビエストークス方程式の解の長時間的挙動 -- 力学系の視点から」   Long-time asymptotics of solutions of the Navier-Stokes   equation -- from the dynamical systems point of view  本講義の目的は,力学系の理論を用いて,空間2次元や3次元の  非圧縮性Navier-Stokes方程式の漸近挙動を論じることである.  基本方針は,まず渦度方程式を自己相似変数で書き下し,それを  適当な重み付き空間上で考えることにより,有限次元の不変多様  体を構成する.この不変多様体の中に,すべての小さな解の情報  が集約される.次に,2種類のリヤプノフ関数を用いて,2次元  Navier-Stokes方程式の解が「Oseen渦」と呼ばれる特解に収束す  ることを示す.これら一連の解析の副産物として,初期値の渦度  が任意の有限測度である場合に2次元NS方程式が適切に解けること  を証明する.また,時間が許せば3次元Oseen渦の安定性も論じる. (2) Pavol Quittner (コメニウス大学)  「非線形放物型問題におけるアプリオリ評価と普遍評価」   A priori and universal estimates for   nonlinear parabolic problems  非線形放物型方程式の解には,さまざまな特異性が現れる.それ  らの特異性を解析する上で,ある種の有界性評価が重要な役割を  演じる.本講義では,そうした有界性評価を導くための代表的な  二つの手法について述べる.一つは,スケーリングとLiouville型  定理を用いる方法であり,今一つはエネルギー評価と補間評価に  基づく方法である.その応用として,解の爆発に関する普遍評価  や爆発時間の連続性,爆発の完全性,あるいは解の減衰に関する  結果が得られる.また,ごく最近得られた新しいLiouville型定理  を紹介し,その応用について述べる. (3) Arnd Scheel (ミネソタ大学)  「秩序構造のダイナミクス」   Dynamics of coherent structures  散逸系に現れる種々の秩序構造に関しては従来から多くの研究が  行われてきたが,最近,無限次元力学系によるアプローチが大き  な成果を収めている.この方法は,不変多様体の上に方程式を縮  約することで,複雑な現象の本質を抽出しようというものである.  秩序構造の具体例として,反応拡散系におけるスパイラル波やパ  ルス進行波,V字型進行波,あるいは対流内に生じる湧点や沈点の  織りなすパターンなどが挙げられる.   本講義では,これらのパターンの背後に潜む普遍的な構造を力  学系の視点から明らかにする.   第1回:無限次元力学系の基礎概念と簡単な応用   第2回:秩序構造の線形解析(Evans関数,スペクトル構造)   第3回:秩序構造の非線形解析(パターンの構造安定性,分岐) ○ 会場は曼殊院から北に100m のところに位置します. 詳細は, http://www.academy-kansai.com/ をご覧下さい. 会場には宿泊施設があり(洋室ツイン・トリプル; 全室バス・トイレ付き), 合宿形式でセミナーを行う予定です. 宿泊の申し込みは9月下旬より受け付けます. 世話人:俣野 博 (東大) 中村 健一(電通大) 牛島 健夫(東京理科大)