2023年度日本数学会応用数学賞受賞者
 
受賞者加納 幹雄 氏
所属茨城大学名誉教授
受賞題目「グラフの因子理論および離散幾何の研究」
受賞理由グラフの因子理論とは,ネットワーク構造を概念化したグラフという対象においてその部分ネットワークの存在を追究する研究であり,1940年代のTutteの因子定理を出発点とするグラフ理論における一大分野で,ネットワークの効率性や堅牢性,また,マッチング理論といった現代社会の基盤となる多くの応用における基礎理論となるものである.加納氏は各頂点の次数に制約を与える「奇次数因子」と「次数因子」という2つの方向性で成果を上げている.奇次数因子は1因子すなわちマッチングにおける「1」を奇数の特殊ケースと捉えての一般化であり,加納氏はこの概念を導入した上で1因子の諸結果を(1,f)-奇次数因子や(1,f)-奇次数部分グラフに拡張するなど,関連する多くの成果を挙げている.また,奇数に限らない自然数への一般化となる次数因子に関しても多くの研究を行い,この分野での研究の隆盛をもたらした.近年には判定する問題がNP-完全になる形の因子の特徴付けの定理を与えるなど,高く評価される新しい成果を出し続けている.加納氏は離散幾何の分野でも多くの研究成果があり,特に,平面上の2色の点配置に関する平衡分割および平面上の幾何的グラフ構造に関する研究はこの分野を大きく発展させることに寄与した.離散数学に関する国際専門学術雑誌の編集長としての貢献がある他,国際研究集会の継続的な主催,国内研究集会の主催も含め,日本のみならず国際的にも離散数学の普及と発展に貢献されている.