2022年度日本数学会応用数学賞受賞者
 
受賞者栄 伸一郎 氏
所属北海道大学
受賞題目「非線形偏微分方程式系に対する縮約理論の構築とその応用」
受賞理由生命科学などに現れる複雑な数理モデルは数学的な取り扱いが困難であり,従来は数値シミュレーションを援用した解析が行われていた.これに対し栄氏は,反応拡散系モデルのパターンダイナミクスに対する数学的に正当化された縮約理論を構築し,解析可能な低次元モデルを導出する方法論を与えた.さらに近年は,積分核を含む新しいクラスの時間発展モデルに対し,パターンの遷移過程を記述する縮約理論を発展させている.その結果,生命現象を記述する大規模なモデルを,実験パラメータ等との関連性を定量的に保持し,かつ数学解析が可能な低次元の方程式へと縮約することが可能となった.これら一連の縮約理論の構築とその応用研究は,以降のパターンダイナミクス研究における数学的基礎の根幹となる極めて重要な成果であり,異分野融合研究を可能にする優れた数学解析の方法論を与えている.