2015年度年会---市民講演会
- 日時
- 3月20日(金) 13:00〜15:30
- 会場
- 明治大学駿河台キャンパスリバティタワー1階1013号室
- プログラム
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13:00--13:10 挨拶 舟木直久(日本数学会理事長・東京大学大学院数理科学研究科) 13:10--14:10 講演1 杉原厚吉(明治大学研究・知財戦略機構先端数理科学インスティテュート) 「数理で探る錯覚の秘密--仕組みがわかると視覚の偉大さも見えてくる--」 講演概要 不可能立体の絵と呼ばれるだまし絵があります. これを見ると, 立体が描かれているという印象を持つと同時に, そんな立体は作れそうにないとも感じます. しかし, 不可能立体の中には, その名前に反して立体として作れるものもあります. 作れないと感じるのは, 与えられた絵を投影図に持つ立体の集合と, その絵を見たとき人が思い浮かべる立体の集合が違うからです. そして, 作れるか作れないかは, 方程式が解を持つか否かで判定できます. 解を持つ場合は, 実際に不可能立体を作ることができますが, そのような立体を見ると, 目の前に存在している立体を見ているにもかかわらず, そんな立体はあるはずがないと感じる錯覚が生じます. この講演では, 不可能立体のだまし絵がもたらす錯覚を手がかりに, 網膜像から立体を読み取る人の視覚システムと画像から立体を抽出する数理的手続きを対比させながら, 目でものを見ることの偉大さと危うさを考えてみたいと思います. 14:30--15:30 講演2 足立恒雄(早稲田大学名誉教授) 「デカルト,フェルマー,パスカルの数学思想を比較する」 講演概要 デカルト, フェルマー, パスカルは 17 世紀を代表する数学者ですが, それぞれ異なった強烈な個性の持ち主でした. 貢献した分野には共通するものもありますが, それぞれの個性を表すような違いが観られます. 簡単に要約すれば, デカルトは代数学の基礎付け, 数体系の1 元化, 記号法の革新, フェルマーは整数論, 楕円曲線の有理点論, 解析幾何学, パスカルは公理主義の魁, 数学的帰納法の定式化, 射影幾何学の展開といった貢献で知られますが, こうした貢献がどのような資質の違いに基づくのかを考えます.
当日3月20日(金)の16:00から同一の会場にて「小平邦彦生誕百年記念講演会」が開催されます。
また、パネル展示「小平邦彦先生の生涯 -- 小平先生とその友人たち --」も会場のあるリバティータワー内の14階1144号室で3月20日(金)から24日(火)の日程で開催されます。